1930年10月5日。フランス北部を飛んでいた飛行船が、突如炎上し、そのまま墜落するという大惨事が発生した。

当時、この飛行船には乗員乗客54名がおり、事故によって48名が亡くなってしまった。

生存者の証言によって、事故当時の状況は分かったものの、肝心の事故の原因がわからない。

そこで、この飛行船を開発したイギリスの航空会社は、驚きの方法で事故原因の究明にあたることにした。


乗組員らが全員死亡していたため、事故当時にどのような機器トラブルが起きていたのかを、降霊会によって判明させようとしたのだ。

馬鹿げた話だが、結局本当に霊能者を招いて、飛行船の船長を呼び出す儀式が行われることになった。

名乗りを上げた霊能者は、何処にでも居るような婦人だった。

ところがその降霊会で、驚くべき証言が次々に飛び出すことになる。

婦人が、船長の霊を自分の体に宿すと、そのまま流暢に事故当時の状況を説明し始めたのだ。

「あの飛行船は、総重量に比べてエンジン性能が低すぎた。浮揚力も足りなかったし、そもそもテスト飛行の時間も短すぎた。事故調査ではガス袋の上部に弾力が欠けているから、そこをチェックしてほしい」

こうした説明に加え、専門家でなければ分からないような詳細な説明をつらつらと述べていったという。

これには、半信半疑で降霊会に参加していた航空会社の重役も思わず目を丸くしてしまったそうだ。

また、実際にガス袋の残骸から、船長が指摘したとおりに弾力が欠けている部分が発見された。

結局事故の原因は、飛行船のスペック不足と浮揚力の計算方法の間違い、そして悪天候によるものだと判明し、無事に船長の霊はあの世に戻されたという。