スイスで、2012年にとんでもない裁判が引き起こされた。

1357年に発生したという殺人事件の犯人が、その贖罪のためにある町の教会にある聖体ランプの燃料費を一族郎党が代々払い続けていたという。

いい加減に嫌になった一族の末裔によって、これまで650年以上支払い続けていた燃料費の支払義務無効を求めて、スイス裁判所に提訴したというのだ。

色々とスケールが大き過ぎて、何処から突っ込んでいいのか分からない話だが、1357年の殺人事件の犯人は、永遠に燃料費を支払うという誓約を結んでおり、これが裁判の焦点となった。


誓約を結んでいるからには書面などで記録されているだろうし、もしかするとこの書類が現存していたのかも知れない。

ただし、この殺人犯はとうに命を落としているし、その後、彼の所有していた土地は教会に寄付されている。

裁判そのものはスイス国内のメディアも注目したようだが、結局、18世紀になってスイスの賃借制度が改正されていたこともあって、スイス裁判所は賠償金の支払いは既に無効になったと判断したそうだ。

これによって殺人犯の子孫は、ようやくにも余計な出費をせずに済むようになったということになる。

当事者が既に落命しているという点、650年にも及ぶ長い慣習にまつわる裁判という点では、この件ほど稀な事例はそうそうないことだろう。

それにしても不可解なのは、殺人を犯した男が、ランプ代を払うことで罰を逃れたことだ。

一体、この男はどんな巧みな話術の持ち主だったのだろうか。