ソニー・ビーンは、15世紀から16世紀のスコットランドにいたとされる、伝説的な殺人鬼である。

一家は代々廃棄物処理などを生業としていたが、怠け者であったビーンはそれを嫌がり、家を飛び出したという。

そして、自分と似た境遇であった女と知り合い、2人で海岸の洞窟で暮らし始める。

しかし、もちろん人は働かなければ生きていくことはできない。そこで、ビーンが選んだ仕事は「強盗」であった。


妻と共同で道行く人に襲い掛かり、現金や持ち物を盗んだ。さらに、自分たちの存在が知られないよう、必ず相手を殺していたという。

だが、それでもなお飢えをしのぐことができない。食料を得るためにビーンらは、殺した人間を「食料」として食べることを始めた。

まるで、原始人のような生活をしていたビーンとその妻は、非常に性欲が盛んだったとされている。

2人の間には子どもが15人。さらに、その子らが近親相姦を重ねた結果、最終的には48人もの大家族に膨れ上がった。

子どもたちはろくに教育を受けず、満足にしゃべることすらできなかったが、生きる糧、すなわち殺人の技術だけは一流であった。

ビーン一家は、徒党を組み、人々を襲い続けた。犠牲者の数は300人以上とも言われている。

だが、こうした生活を続けて25年目に、とうとうビーン一家の存在が明るみに出る。

あるとき、馬に乗った獲物を取り逃がしてしまい、ビーン一家の存在がスコットランド国王に報告されてしまったのである。

大規模な軍隊相手では、さすがのビーン一家も抵抗できず、全員が捕まった。そして、裁判なしで全員が処刑されたという。

この、恐ろしいビーン一家の存在は、最古の文献でも1800年代のものに記されているのみであり、実在するかどうか疑わしいとする説もある。