ワネタ・ホイトは、生後間もない子供を5人も立て続けに亡くした、かわいそうな母親である。ただし、それが本当に病死だったとしたらの話だ。

1965年から1971年にかけての6年間で、ワネタの5人の子供たちは亡くなっており、いずれも死因は乳幼児突然死症候群と診断されていた。

だが、ここまで続けて同じ人物の子供が亡くなっているのである。当然のことながら、周囲ではワネタが殺したのではないかという疑念が出ていた。


それでも真相はわからないままで、ようやく全貌が明るみに出たのは発生から20年も経った1985年のことであった。

当時、親による子殺しについての事例を調査していた検事ウィリアム・フィッツパトリックは、ワネタの事件について法医学者の意見を求めたのである。

法医学者の答えは当然「母親が殺した」というもの。それもそのはず、ワネタの子供たちの死亡診断書からは、どう見ても亡くなった子供たちは健康そのものだったとしか読み取ることができなかったのだ。

1994年3月、とうとうワネタは逮捕されることとなる。ワネタは法廷で無罪を主張したが、結局5件の殺人で懲役30年が言い渡された。

ワネタがなぜ、このような犯行に及んだのかという理由については、彼女の「病気」が挙げられている。

ワネタの病名は「代理ミュンヒハウゼン症候群」というもので、周囲の関心を引くために自分に近しい人間を傷つけたり、殺したりしてしまうというものである。

ワネタはその後、刑務所内ですい臓癌を患い、1998年に死亡している。