3人刺殺、1人重症

北欧のフィンランドにボドム湖がある。
1960年の6月5日、この湖畔でキャンプをしていた若い男女4人（男性18歳、女性15歳）が何者かに襲われて、内3人が刺殺、1人が重症を負った。
重症ながら一命をとりとめた青年Gは、ショックのためか事件当時のことを覚えていなかった。
Gに催眠療法で記憶をよみがえらせる試みもなされたが効果はなかった。

3人の若者が一度に殺害、だが犯人は逃走中、ということで当時のフィンランド社会にも衝撃が走る。
また当局から一時容疑がかけられた人物が自殺したりもした。警察の広範な捜査にもかかわらず、犯人は捕まらず、事件は迷宮入りと思われた。

意外な容疑者、浮上

そして45年が経ち、警察は現場で回収したテントや靴などに付着していた血痕をDNA鑑定。
そこで容疑者として浮かび上がったのは、なんとあの重傷を負ったGだった。

Gは逮捕・取り調べを受ける。Gは容疑を否認。
弁護人も「犯人は外部から来た何者か」を一貫して主張。検察はGの負傷は嫌疑逃れの芝居であり、殺人の動機はGの「嫉妬」だと述べている。

容疑者は言う。「俺は何も覚えちゃいない。覚えているのは『じゃあ、お休み』と寝る前に挨拶を交わしたことぐらいだ」