男は機内サービスの際に客室乗務員の女性に飲み物の代金と一緒にメモを渡した。
客室乗務員は男の自宅の電話番号のメモだと思ってほほ笑んだが、
そのメモには「爆弾を持っている」と書かれていた。
笑顔が凍りついた。

男の要求

男の本名は「D・クーパー」。「D・B・クーパー」という他人になり済まして搭乗していた。
男は身代金20万ドルとパラシュート4つを要求した。
パイロットは疑わしいと思い男の隣に座り本当に爆弾を持っているかを尋ねると、男はブリーフケースを開けた。
そこには赤い管と導火線が見えた。パイロットは管制官にハイジャックされたと告げ、それに対し当局はハイジャック犯に従うように指示した。

午後5時45分にシアトル・タコマ国際空港に緊急着陸後、犯人は身代金とパラシュートと引換えに乗客全員と客室乗務員2名を解放した。
午後7時45分にシアトルを離陸。機長に対しネバダ州リノに向かえと要求。
そして高度1万フィート(約3000m)に維持したうえでランディングギア(車輪)とフラップの角度を15度下げて飛行するように指示した。

脱出

犯人は午後8時11分ごろに、ボーイング727の後部にあったリアドアを開き、パラシュートで現金と共に脱出した。
その様子を追跡していた空軍の戦闘機のパイロットは、ポートランドの北30マイル(約50km)にあるアリエルの郊外に降りたと報告した。
後に身代金の一部がコロンビア川で発見され、実際には犯人は死亡したともいわれるが、死体は発見されていない。

諸説紛々

その後、犯人がどうなったかについては様々な説がある。

逃亡説
1972年には、「パラシュートによって、ハイジャックした旅客機から逃走しようとした事件(模倣犯)」が3件発生した。
最終的にはいずれも検挙され、「D・クーパー」だけが逃げ切ったと思われている。

死亡説
1980年2月13日、ワシントン州バンクーバー郊外のコロンビア川のそばで、ピクニックに来ていた家族によって、身代金の一部5800ドルが発見された。
そのため「犯人は、コロンビア川に落ちて溺れた」「冬の夜の寒さに凍えて、死亡したのではないか?」といわれるようになった。

逃亡して死んだ説
2011年8月2日付の複数の海外メディアによると、FBIの特別捜査官が「約10年前に老衰で死亡した男性の正体がD・B・クーパーである」という証言を入手。
現在、死亡した男性の指紋、DNAと、事件当時機内に残された指紋、遺留物に付着したDNAの鑑定が行われているという。