新橋のホテルで女性歯科医師が殺害され、死亡後姦淫されているのが発見された。

1972年6月26日、新橋のホテル3階304号室で女性歯科医が全裸で死んでいるのが連れのふたりによって発見された。
女性は連れのふたりと共に上京していてホテルに24日から泊っていた。
25日に有楽町のガード下の焼き鳥屋で酒を飲んでいた所、7時半ごろに「気持ちが悪くなった」と言ってホテルに帰ったという。

「助けて」、の声

隣の部屋と真下の部屋にいた宿泊客が「助けて」という叫び声を聞いたというが、
ホテルということもあり女の叫び声が男女の間の別の連想が働いて、その場で警察には通報していなかった。

警察は顔見知りの犯行とみて捜査を開始した。
初めに同行していた医師2人が事情聴取された。
しかし遺体の解剖結果で犯人は「O-非分泌型」で2人の血液型とは合わず、
また、盗まれたと思われる現金が入っていたバッグの留め金との指紋も一致しなかったため容疑が晴れた。
被害者と情事をしていたという男が容疑者に浮上したものの、
部屋から見つかった177個の指紋と血液型のどれにも一致せず、これも容疑者から外れた。

そして、ダンスが趣味だったという被害者とダンスをしていたという男もアリバイが成立してこれも容疑が晴れた。

初動捜査ミス?

事件から5年後に東京の歯科大学の元教授が重要参考人として浮上。
しかし、これは密告者が彼に結婚詐欺同然の目にあわされたため、元教授の居場所を探し出してもらえることを期待しての虚偽の供述だったと告白。
捜査はますます混乱した。
迷宮入りの原因のひとつは、捜査開始当初から顔見知りによる犯行として捜査していたため、
初動捜査においてそれ以外の可能性を探る捜査をしていなかったためともいわれている。