「自分は人体実験された」という勝手な妄想を抱き、医師を射殺した凶悪事件。

1994年10月25日、東京都品川区の青物横丁駅で47歳の医師が拳銃で撃たれるという事件が起きた。

犯人は野本正巳(のもとまさみ)36歳であった。犯行後、野本は都内のホテルを転々とした。そのホテル内のテレビで事件の報道内容に不満を感じ、テレビ局などに電話をかけ出頭する可能性があることをほのめかしたのであった。


野本は、1993年にこの医師の下でヘルニアの手術を受けた。野本は手術後、体内に異物があると勝手に思い込み、この医師を疑うようになった。

しかし、実際には手術は成功しており、野本の体の中に異物など入っているわけはなかったのであった。

だが、野本はこの医師に対する不信感を募らせていく。「自分は人体実験をされた」と思い込み、ついにこの犯行を犯すに至るのであった。

野本は、精神病院の通院歴があり精神鑑定がなされたが、責任能力ありと判断され殺人罪で起訴された。

1997年、東京地裁は野本に懲役12年が言い渡されたのであった。