男の局部を切断して持ち歩くという前代未聞の醜悪事件である。

1936年5月18日、東京尾久の旅館で男性が首を絞められ遺体となって発見された。その遺体は、何と男性器が切り取られていた。

犯人は阿部定である。定は娼婦などの職を転々とし全国各地で暮らしていた。

定は東京中野の「石田屋」で女中として働き始める。ほどなく、主人の石田と恋に落ち駆け落ちをする。


そんな中、石田と定は事件が起きた東京尾久の旅館に宿泊する。

性交の最中に定は、石田の首を絞め石田を殺害する。

殺害後、定は石田の男性器をナイフで切り取り、それを持ち歩きながら逃走をする。

5月20日、逃亡をしていた定は品川の旅館で逮捕される。逮捕時も、定は石田の男性器を肌身離さず持っていたという。

なぜ石田の性器を切断したかについて定は「私は彼の頭か体と一緒にいたかった。いつも彼の側にいるためにそれを持っていきたかった」と供述した。