1800年代、アメリカ・アーカンソー州で、1人の有能な弁護士が誕生した。

彼の名はトマス・ハインドマン。

後にアーカンソー州の下院議員にも選出され、南北戦争にも出征して武功を挙げた将軍として知られる人物である。

トマスは、戦争の直前までミシシッピ州で議員として活躍していたが、南北戦争が始まると、出身地のアーカンソー州がアメリカを脱退したために議員を辞職している。


その後、すぐに南部側の将軍に任命され、戦地に派遣されることとなった。

1861年には准将に任命され、1962年には少将に昇進している。

これは異例の大出世であり、それだけ彼の働きが南側の軍隊を鼓舞していたということだろう。

ところが、戦争は南に長らく劣勢を強いた。なんとか戦争が終結した際には、彼は敗軍の将となっていた。

そこでメキシコシティにまで逃亡し、全面降伏を迫る北軍の要求を最後まで受け入れることをしなかった。

戦後は、メキシコで農園を営むようになるが、その間もアメリカへの帰国を願い続けていたという。

しかし、請願書はことごとく破棄され、戻ることは許されなかった。

騒乱の人生が幕を下ろしたのは、1868年9月27日のこと。

彼は、ヘレナに構えていた屋敷の中で何者かに襲われ、そのまま命を落としている。

彼を殺害した犯人は、今もってその正体が分からないままだということだ。