2001年5月18日。千葉市若葉区貝塚町に住む、杵渕清さんと妻の郁子さんが消息を絶つという不可解な事件が発生した。

両親と連絡がつかなくなった、留学中の娘の通報で発覚。このとき既に連絡がとれなくなってから数日が経過していたようだ。

郁子さんは5月15日から18日まで仕事を休んでいたが、その理由は「警察の人がくる」というものだった。もちろん、本物の警察官の中に杵渕さん宅を訪れた者はいない。

この警察官は、夫婦に対して「お宅は泥棒に狙われている」と話し、通帳の保管場所などを事細かに聞き出していたことが分かっている。


郁子さんはこの警察官を名乗る男に心を許し、一切の秘密を話してしまっていたようだ。

そして夫婦の失踪当日。杵渕さん本人を名乗る不審な男が銀行を訪れ、預金350万円を引き出していることが明らかになっている。

この男こそが警察官を自称し、夫婦を欺いた男と見て間違いないのだが、問題は夫婦の行方である。

自宅の風呂場からは夫婦の血痕が見つかっているが、肝心のその姿が見えないのだ。

夫婦の愛車は、自宅から300キロも離れた名古屋で発見されている。車は無人、指紋も検出されなかったが、トランクからは夫婦の血痕が見つかっている。