海洋哺乳類の中でも、恐らく一、二を争うほど知能が高いイルカとクジラ。本来はコミュニケーションをとることもなく、別々のコロニーを形成している両者だが、困ったときはお互い様のようだ。

2008年の3月、ニュージーランド北東にあるマヒアの海岸で、浜辺に打ち上げられてしまったクジラを助けるために、イルカが奮闘するという珍しい事態が発生したのだ。

同月13日未明、浜辺に親子と見られる2頭のクジラが打ち上げられ、発見した地元の人々によって救出活動が行われることとなったという。

しかし、クジラは方向感覚が狂っていたためか、何度沖合いに運んでも再び浜辺に乗り上げたという。次第にクジラの体力も衰弱していった。

人々が絶望しかけたそのとき、不意に1頭のイルカが姿を見せた。

このイルカは地元では「モコ」と呼ばれ、愛されており、非常に人なつっこい性格をしていたという。

そしてモコの登場でクジラたちにもある変化が生じた。どういうわけか聞いたことのない声で鳴くモコに呼応して、クジラもこれまでとは異なる反応を見せたというのだ。

数分後にはモコに導かれるようにクジラが方向転換し、そのまま水平線の彼方まで脱出することに成功したという。

これをみていた人々は、モコの働きに感服した。

モコはその後すぐに海岸に戻ると、いつものように地元の人々と戯れたそうだ。